SANCHI tabiRela(さんち たびりら)

日本の伝統生地を日常に

日本の伝統生地を日常に
表情豊かな風土が四季折々の景色を生み出してきた日本。
そこには地域ごとの暮らしの中での創意工夫と生産方法によって、多種多様な織物文化が育まれてきました。

「繊維のまち倉敷」から始まったtabiRela(たびりら)は、その土地ならではの生地との出会いを求めて旅に出ることにしました。

産地(さんち)をめぐり続けていきたいという想いから
SANCHI(さんち)シリーズと旗を掲げてスタートします。
久留米絣

福岡の無形文化財でもある「久留米絣」、その中でも貴重な手織り生地を使用したモデル。

FEATURE

手織りでひとつひとつ、しっかりていねいに

伝統的な藍染手織りを続けている数少ない久留米絣織元の「池田絣工房」の生地を使用しています。
素朴ながらもシンプルで
奥深い文様が印象的な久留米絣。
ここでは多くの工程の一部となりますが、
抜粋してご紹介していきます。
【藍 染】
池田絣工房では天然藍を使用して糸の染色を行います。染糸を水に浸け、よく絞り広げて藍液に浸け、充分に藍を含ませて引き上げ、 空気に触れさせて発色させます。
【藍 染】
より染まりをよくするため糸をたたいて空気を入れ酸化させて染めるという作業を、数十回繰り返します。色合いはこの繰り返しの回数によって調整されていきます。
染糸についている「括り」を外すと染まっていない部分が白く残っています。
この“白い部分”が絣の文様を作っていくのです。
【手織り】
投杼(なげひ)の織り機を使用して、手織りでしっかりと織り上げていきます。緯糸(よこいと)を通し、経糸(たていと)の柄模様に緯糸を目視で合わせていきます。
さらに筬(おさ)を手前の方に力強くトントンと打ち込みます。
【手織り】
この作業を繰り返しながら、丹念にひとつひとつ織っていきます。織り子によって、糸によって、そして織り機によって、ひとつひとつ個性、表情が異なる生地が完成していきます。長年の経験と磨かれた技術、研ぎすまされた勘が必要になる仕事です。
FEATURE

染と織が一体となった工場

伝統工芸品に指定されている阿波しじら織、今回は大正元年(1912年)創業の織工房藍布屋さんこと岡本織布工場様に生地を依頼しています。
全ての織機はベルトコンベアで繋がり、一つの動力で全ての機会がシンクロしながらリズムを刻んでいく様は圧巻です。
機械の振動が建物に伝わっていき、
まるで工場全体が息をしているかのように生地が織られていきます。
取材を行った日はちょうど「白細縞」の生地が織られていました。
それぞれの織機が規則正しく稼働していますが、なぜか暖かみを感じさせるリズムです。
所狭しと並べられたシャトル織機、とても古い機械なので故障しても交換パーツがあるわけではありません。既に稼働していない織機から部品を流用したり、メンテナンスには苦労するとのこと。
岡本織布工場では藍染の工程も行っております。
この本藍の糸で織られたものが〝阿波正藍しじら織〟として、国の伝統工芸品として指定をされています。今回のシリーズでは“藍変り縞〟のみ本藍の糸を使用した生地となっています。
この特徴的な凸凹の〝しじら織〟がどのように誕生し、作られているのか、そこには一人の女性の創意工夫がありました。
明治時代の初めに、阿波国名東郡安宅村(現徳島市安宅)の海部ハナが「たたえ織」をベースに改良して創案したと言われています。
干していた「たたえ織」の着物がにわか雨に濡れてそのまま日光で乾かしたところ、縮んだことにヒントを得て創られたと言われています。
ハナは縮んだ生地にできた凸凹の素晴らしい風合いに目を留め、あえて凸凹したシボのある木綿織物を作ることを思いつきました。
FEATURE

木綿の魅力再発見

昔ながらのやり方をしっかりと引き継ぎながら生地を織り続けている原山織物工場様の生地を使用委させていただいています。
修繕を繰り返しながら使用している
小幅の旧式シャトル織機で織り上げた生地は、厚みがありふっくらとした
質感で味わい深い風合いです。
小麦澱粉で固く糊付けした経糸に緯糸を織り込んでいく工程に特徴があり、糊付けしたことで生まれる細かな節が空気を含む層となることで、
汗をよく吸い込みながらも、
冬場は保温性に優れます。
まさに昔ながらの天然の機能素材です。
工場の中庭で天日干しにされた
たくさんの木綿糸
120年間会津木綿も作り続けてきた
原山織物工場。
会津木綿を「染めから織り」までを行う貴重な
工場です。